「もしかして、英作文.netを100問連続正解すると、小脳が緩むというのは、シナプス可塑性に関係しているのですか」と町会長。

「自分の脳のシナプスの状態をチェックすることはできないので、断言はできませんが、2013年12月12日の『Nature ハイライト』の『神経科学:経験で神経可塑性が変化する仕組み』に『脳が学習し記憶を保持する能力は、可塑性、つまり神経回路やシナプスが行動や環境などの入力に反応して変化する能力と関連している。今回P Caroniたちは、成体マウスの介在ニューロンにはPV発現レベルと関連した異なるネットワーク状態があることを見いだした。環境エンリッチメントによって低PV発現細胞の割合が増えたのに対し、恐怖条件付けでは高PV発現細胞の増加が起こった。それぞれの状態は、ネットワークに影響を及ぼす異なった生理的特性を示すように細胞を特徴付ける。これらの細胞を人為的に活性化あるいは抑制するだけで、ネットワーク状態とその根底にある構造的な可塑性を変化させるのに十分だった』と書かれています。」

「『介在ニューロン』と言いますと?」と町会長。

「脳科学辞典の『投射ニューロン』には『ニューロンは細胞体と、外部から入力を受ける樹状突起ならびに出力を担う軸索から構成される。中枢神経ニューロンは軸索投射様式から、投射ニューロンと介在ニューロンに分類される。投射ニューロンは、軸索をそのニューロンが属している神経集団(神経核や大脳皮質領野など)の中だけに限局せず遠方にも伸ばし、異なる領域間の情報伝達を担うニューロンである。一方、同じ神経集団の中でのみ軸索を広げ、近傍ニューロンとだけ情報伝達を行うものを介在ニューロンと呼ぶ』という説明があります。」

「中枢神経ニューロンは、軸索が長いものと短いものの2種類があり、短い方を『介在ニューロン』と言うのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「『環境エンリッチメント』」と言いますと?」と町会長。

「ウィキペディアの『環境エンリッチメント』に『環境エンリッチメントとは、動物の福祉と健康のために、飼育環境に変化を与えること、飼育動物に刺激や選択の余地を与え、動物の望ましい行動を引き出すこと、刺激不足の環境において、種に適切な行動と心的活動を発現させる刺激を与えることなどと定義される。飼育動物の活動性と行動の多様性を高め、野性と同様の行動を引き出し、望ましくない異常な行動を減らし、環境の肯定的な利用を増やすことを目指して行われる 』という説明があります。」

「それでは、『環境エンリッチメントによって』というのは、成体マウスを自然な環境に近い状態に置いたという意味ですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「PV発現と言いますと?」と町会長。

「『PV』というのは、パルブアルブミンのことで、カルシウム結合性の低分子量のアルブミンのことです。」

「『カルシウム結合性』と言いますと?」と町会長。

「ウィキペディアの『カルシウム結合タンパク質』に『カルシウム結合タンパク質は、カルシウムイオンを特異的に結合するタンパク質の総称。特にカルシウムシグナリングの経路に関するものを指す。狭義には酵素活性を示さないものとされる。生体内でのシグナル伝達を仲介することにより、カルシウム結合タンパク質は恒常性の維持から学習や記憶まで、様々な生命現象に関与する。』という説明があります。」

「アルブミンと言いますと?」と町会長。

「ウィキペディアの『アルブミン』に『アルブミンは一群のタンパク質に名づけられた総称で、卵白(albumen)を語源とし、卵白の構成タンパク質のうちの約65%を占める主成分タンパク質に対して命名され、さらにこれとよく似た生化学的性質を有するタンパク質の総称として採用されている。 代表的なものに卵白を構成する卵アルブミン、脊椎動物の血液の血漿に含まれる血清アルブミン、乳汁に含まれる乳アルブミンがある』という説明があります。」

「『PV』は理解できたと思いますが、『PV発現細胞』が理解できていないような気がするのですが」と町会長。

「『発現』とは、遺伝情報に基づいてタンパク質が合成されることです。」

「それでは、『環境エンリッチメントによって低PV発現細胞の割合が増えたのに対し、恐怖条件付けでは高PV発現細胞の増加が起こった』というのは、マウスを自然な環境に近い状態に置いた場合には、パルブアルブミンを少ししか作らない細胞が増え、マウスが恐怖を感じるような環境に置いた場合には、パルブアルブミンをたくさん作る細胞が増えたということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「『Nature ハイライト』は、思いっきり、難しいですね」と町会長。

「そうなんですよ。」

「『これらの細胞を人為的に活性化あるいは抑制するだけで、ネットワーク状態とその根底にある構造的な可塑性を変化させるのに十分だった』というのは、『マウスを自然な環境に近い状態に置いた場合には、パルブアルブミンを少ししか作らない細胞が増え、マウスが恐怖を感じるような環境に置いた場合には、パルブアルブミンをたくさん作る細胞が増えたこと』を言っているのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。一時的に神経細胞の反応が変わったというのではなく、低PV発現細胞と高PV発現細胞の比率が変わるという長期的な変化が起ったということを言っています。」

「脳が学習し記憶を保持するということは、神経回路やシナプスが行動や環境などの入力に反応して長期的に変化するということなのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「もしかして、英作文.netを100問連続正解して、小脳が緩んだとき、連続正解による脳に対する刺激が閾値に達して、脳の神経細胞のネットワークに構造的な変化が起るとお考えなのですか」と町会長。

「1回だけ連続正解しても、構造的な変化は起こらないでしょうが、長期間にわたって毎日100問連続正解すれば、脳に明確な変化が起り、今までできなかったことができるようになるのは確かです。経絡的にはわずかな変化なのですが、能力には明確な変化が生じます。」

「なるほど。しかし、脳の神経細胞のネットワークに構造的な変化が起ったことを確認したわけではないのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

2020/8/24

<筆者の一言>
洗濯機は、パナソニックの『プチドラムNA-VD150L』を使っている。これにも乾燥機が付いているのだが、使ってみると生乾きくらいにしかならない。それで、衣類乾燥機を使うことになってしまったのだ。

衣類乾燥機が壊れるような音を出したため、『プチドラムNA-VD150L』の乾燥機を久しぶりに使ってみた。

『プチドラムNA-VD150L』は僕が一人で動かすのは難しいと感じるほど重いのだが、乾燥機を使うと、『プチドラムNA-VD150L』が揺れて動き出しそうになるほど、激しい振動をした。

『プチドラムNA-VD150L』も、洗濯物を入れるドラムの軸とプラスティックのファンの軸を微妙にずらしてある可能性が高いと思った。このくらい激しく振動すれば、洗濯機の部品に問題が生じて壊れるのが早くなるかも知れないとも思った。<続く>

<ムクドリ82>
7月18日に39℃を記録した。驚いたことに、西側の防風林でピーピーピーピーと元気に鳴いているのが 1羽いた。夕方、34℃になった時、裏庭に出てみると、栗林のあちこちでピヨピヨと鳴く声が聞こえた。イエスズメは日本の気候に適応できるように進化しているのだ。ロシアから来たばかりとは思えない。もしかしたら、100年以上も前に朝鮮半島から九州を経由して日本に入ってきて定着していたのかも知れない。そう考えれば、39℃の暑さに耐えられることが説明できる。

鳥類研究者の目に止まらなかったのは、繁殖能力が極めて低いせいだと思われる。戸袋にいたひな鳥は1羽だった。1つの巣にひな鳥が1羽というのは、日本のイエスズメには一般的なことなのかもしれない。<続く> 

2023/8/7